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中国(チベット編) > 第15話 中華航空ひっくり返る!(1999.08.22 広州-深せん) [概要:香港行きの航空券が安いのは伊達じゃなかった。 ] 第15話 中華航空ひっくり返る!(1999.08.22 広州-深せん)
昨晩は広州入り初日に買っておいた広州のバスマップをにらみ中国出国?のバスを調べていた。 香港、マカオへは、5つ星ホテルの前からシャトルバスが頻繁に出ており、香港行きは120元、マカオ行きは50元で行くことができる。距離がちょっとだけ近いことと、国境はバスではなく徒歩で越えることからマカオ行きのバスは安いらしい。正確にはマカオ行きではなく、珠海行きであるのだが(イミグレーションの目の前に止まる)。 私は朝一番に中国大飯店に向かいマカオ行きのバスに乗り込んだ。 値段云々というより、行きと違う方法で香港に戻ることを考えてのことだ。 マカオ行きのバスは「これが中国のバスだとは信じられない」と言いたくなるくらいデラックスなばすで、快適そのもの。しかし、同じくマカオに向かうらしい欧米人バックパッカーが数人乗っていたが、身体のでかい彼らにはこのデラックスバスも窮屈らしく、席を移動して1人で2人分の席で占領しゆったりとくつろいでいた。 しかし、車掌はそんな彼らを許してはくれず、冷たく「席に戻れ」と一喝。 なんだ、まだ途中でお客を乗せる訳ね。 ともあれ、何ごともなくすいすいと道路をぶっ飛ばし、珠海についてしまった。 道路がきっちり整備されていて日本の高速道路を走っているような快適さである。 マカオに入り、何もプランが無かった私はバックパックを背負ったままぶらぶらと街を歩いていた。 街は今まで歩いてきた中国となんら変わりはなく、一般庶民が住んでいそうな団地が所狭しと建っている。 中国と違うなと思ったのは、窓を囲む鉄格子の横に設置されているエアコンの室外機である。中国の町では庶民の家ではまだまだエアコンが普及していなかった。マカオの人の方がやはり裕福なんだなぁ。 ところで、マカオの街を歩いているうちに、だんだんと風が強くなっていることを感じていたのだが、町並みの変化(ポルトガル風建築)に心を奪われていた私はたいして気にもとめていなかった。 30分も歩いた頃だろうか。ウーーーーーというサイレンを鳴らしながら消防車が目の前を走り抜けていった。 そういえば、入境してから今まで、風は強くなる一方だ。 嫌な予感がした私は、町歩きをやめてあわててフェリー乗り場を目指した。 明日のんびりとフェリーで香港へ上陸し、あさっての帰国に備えるつもりだったのだが、このままだと明日のフェリーは欠航になるかもしれない。 フェリーターミナルに着くと、すぐさまチケットカウンターに向かったが、無情にもチケットカウンターは閉まっている。 大型フェリーもホバークラフトも何もかもが受け付けてくれない。嫌がらせかーーー。 ふと、チケットカウンターの電光掲示板に目を向けた。 ----台風のため、フェリーは欠航です---- 台風ぅぅぅぅぅ????なんてこった。あさってには日本に戻らないといけないのに。 このまま香港から飛行機が飛び立っていくのを成すすべなく見送るしかないのか? しばらくの間、電光掲示板を流れる文字を呆然と眺めていた。 そうだ、私は陸路でここまで来たんだ。海路がダメなら陸路で戻ればいいんじゃないか! 再びタクシーに乗り込み、国境へ向かう。とにかくできる限り香港に近づく必要があった。 マカオに入境してから1時間ほどしか経ってなかったが、イミグレーションの役人はそんなことを気にすることもなく、事務的に出国印を押してくれた。しかし、ここで新たな問題が頭をよぎった。
オフィスはマカオ側のイミグレの近くにあり、5分もしないでビザ印を押してもらった。 胸を張って中国側のイミグレに戻ったら、今度は「これは珠海限定の特区ビザだから深せんにいけないけどいいの?」と言われた。げ、やっぱり香港には戻れないんだろうか? 「どうしても、香港に行かないといけないの。深せんからじゃないと香港に入れないでしょう? マカオからのフェリーは台風で欠航しちゃってるのよぅ!」 「判ってるよ。だから、このビザじゃなくて、中国の普通のビザのスタンプをもらって来てよ。 そうじゃないと珠海から出られないよ」 「・・・もしかして、普通のビザも国境でとれるの?」 「とれるよ。だから、係りの人にこのビザを取り消してもらって、中国の観光ビザをもらってきて」 再びマカオ側にあるオフィスまでの道をばたばたと走り、ようやっと中国のビザを手に入れて再入国と相成った。 つっ疲れたー。 珠海からは広州行きのバスだけでなく、深せんまでのバスも出ていた。 あいにく深せん行きのバスは夕方の5時まで満席だったが、広州に戻ることよりも深せんに向かうことを選んだ。 深せんまでの道はハイウェイが整えられているのだが、この天気(大雨になっていた)からか、走っている車の数は まばら。それをいいことにアクセル全開でぶっ飛ばす運ちゃん。 運が悪いことに私の乗ったバスはぼろいミニバスで、車体はばらばらになりそうな騒音をあげている。やっ、やめてくれーー。 こんな豪雨のなかそんなにとばさないでくれーー。死にたくないっ。 道すがら、物の見事にひっくり返っているバスや車を目にした。 しかし、人ごとではない。この運転では次の瞬間には私がああなっているかもしれないんである。 出発から3時間ほどたった頃、バスは無事に深せんの街に着いた。雨も少し弱まって、なんとなくほっとする。 高速を降り、速度が落ちたことにほっとした私は、ふと窓の外に目を向けて唖然とした。 きれいに整えられていたらしい、歩道の街路樹は幹の真ん中から物の見事にまっぷたつに折れていた。 企業の広告看板は剥がれ、道路までぶっ飛んでいた。町中がただごとでは無かった様子である。 そして、バスから降りるとバスターミナルの目の前のホテルにチェックイン。TVがあったので何の気なしにTVのスイッチを入れた。 どのチャンネルをつけても何故かやっているのはニュースで、よーく見ているとなんだか変である。 2分経っても、5分経っても、いつまで経っても違う話題になる様子がない。 怪我をした人、TVに向かって訴える人、夜の闇の中でマイクを片手に真剣な面もちで語るレポーター。 そんな映像ばかりが流れたあと、飛行場の映像と、飛行機が墜落するアニメーションが流れた。 「ありゃ、どっかで飛行機ひっくり返ったんだー。アジアの人が多いなぁ。また、中華航空ねぇ」 が、さらにテレビを見ているうちに、私は凍り付いてしまった。 「こっ、これはっ。香港じゃないか!」 マカオからのフェリーが欠航になるわけである。あの時間にはすでに香港に台風が上陸していたんだから。 でも、こんなに必死で深せんまでたどり着いたのに、飛行機飛ばないんじゃないの? 翌朝は雨も小降りになっており、何の問題もなくあっさり香港にたどり着いた。 小雨が降っている他は、3週間前となんの変わりもなく、大型台風の上陸後の街とは思えなかった。 たまたま声をかけてきた人から話を聞くと、やはり昨日はものすごかったらしく、頭上から落ちてきた看板が直撃し、死んだ人もいたという。 なるようにしかならないと思い、最後の夜を一日優雅にショッピングや食べ歩きでもしようかしら・・・と高級ホテルホテルシェラトンへ向かってみたけど、ショッピングアーケードはおろか、ホテルの入り口までシャッターが閉まっていた。 いつもと同じに見えてなんだか活気に欠けていた香港の街をぶらぶらして、最後の夜は更けていった。
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