エジプト(ルクソール)の犠牲祭(4)当日
さてさて。この日は観光客らしく、ルクソールの西海岸の遺跡を見て回りました。
乗り合いトラックに乗り、定番のハトシェプスト女王葬祭殿、そして王家の谷(徒歩で裏から入ったため墓の中身はツタンカーメン以外は見なかった)。
自力での観光だったのと似たようなものを見るのにやたらにお金をかけることもしたくなかったのもあり、帰りなんて王家の谷から徒歩で船着き場まで戻ったので(2時間くらいかかりました)ほとんどそれで一日が終わった。
ルクソールの町は東海岸は観光の町で、大きなホテルなど観光客向けの施設が充実しているのに対し、西海岸はサトウキビ畑と小さな町があるだけ。運河の脇に通ったサトウキビ用のトロッコの脇道をてくてく歩いているとルクソールにいることを忘れる。観光客だということを意識せずに農家を眺めながらのんびりできるのが不思議だった。逆に言うと西海岸は相当客引きがうるさい(しつこい訳ではないけどね)。
で、ですね。そんなことをしていたので、もうすっかり犠牲祭のことなど忘れていたというか、考えずに村を眺めて時間が経ってしまったので
「観光客なんだしあの程度の雰囲気が味わえただけでもラッキーかな」
くらいに考えていたわけです。だって、そんなことすっかり忘れて山登ったり、何時間も歩いたりしていたわけですから。
東岸に戻ったのは日もとっぷり暮れた頃。
「このままホテルに戻るのもなぁ・・・」
と、少々お名残惜しかったのもあり、今朝、"かわいーい大牛~"がいた路地をわざわざ通ってみました。
するとですね。
朝は数人の大人がナイフをしゃーっ、しゃーっと研いでいて、それを見守る子供がたくさんたむろっていたわけですが、なんだか地味な雰囲気ながらも大人がいるんです。それも、結構年老いた感じの人が道のはじっこに座り込んでおしゃべりをしている。
「あれ?やっぱこういう日だから、近所の老人が集まっておしゃべりに花さかせたりするのかな~。トルコでも、夜になるとおばあちゃんが路地にすわってたしなぁ」
なんて思ったんです。
でも、
「あれ?よく見ると老人だけじゃないな」
「おばちゃんも子供も、女の人も男の人も・・・。あ、あーーーー!!」
徐々にうし君のいたお宅に近づくにつれてようやく気がついたんです。
路地の隅に座り込んでにっこり笑顔を見せるこの人たちの身なりが少々みすぼらしく、やせ細っていることに。
そして、今朝、うしくんがいたこのアパートの入り口だけ煌々と電球がともっており、おじちゃんが数人がかりで、トンテンカントンテンカンしていた。
そう、この路地の隅に座っていたこの人たちは、今日神様に捧げられたうしを分けて頂けるのをじーーっと座って待っている貧しい人だった。
トンテンカンしているのは今朝、そこにつながれていたあのうしくんである。
イスラムの五行の一つに「喜捨」があるが、こうやって当たり前の様に行う姿を目の前にすると、とても義務でやっているようには思えなかった。
これまで、「マネー、まね-」「バクシーシ!」と子供に追っかけられる立場だった日本人のわたしからすると、頭の中からこういういやな記憶がすっとんで、心が洗われるといったら大げさですが、素直に感動しました。
インシャアッラー。(←使い方間違ってるってば(笑))
(まだつづく)
エジプト(ルクソール)の犠牲祭:前置き編
エジプト(ルクソール)の犠牲祭(1)・・・まだ前置き
エジプト(ルクソール)の犠牲祭(2)当日
エジプト(ルクソール)の犠牲祭(3)当日
エジプト(ルクソール)の犠牲祭(4)当日
エジプト(ルクソール)の犠牲祭(5)当日
エジプト(ルクソール)の犠牲祭(6)その後