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  [概要: なんと!ローカルバスでホテルまで送迎!]

 第4話 どきどきインド入国:後編 [デリー]

 インドのバスは古ぼけていて、使い古した雰囲気。緻密さに欠けるところはおいておいて、ただ単に壊れるまで大切に使い続けているだけという気もします (スリランカのバスは、日本のバスの使い回しが多いです)。

 さて、スリランカでバスに乗ったときは昼間だったし、もちろん女の人もたくさんいた。
 成り行きとはいえ、真夜中に右も左もわからない外人の女が二人バスに乗ることになり、しかも、このバスには乗っているのはインド人の男ばかりだ。
 車内は薄暗く、褐色の肌をしたインドの男たちは、妙にその雰囲気にとけ込んでしまっている。
 彼らの大きく鋭い目は突然バスに乗り込んできた場違いな二人をぎょろりと一瞥する。うわー、・・・どきどきする~。

【インドのバス】※デリーのバスではありません。
インドのバス
 そうこうしてるうちに運転手は、バスのエンジンをかけた。
 やばい。発車してしまう前に運ちゃんに行き先を告げなければ…。

「エクスキューズミー!」

 すると我々の前の席に座ってる若者はいう。

「この運転手は英語解らないよ。ヒンディ語でいわないと無理だって」

 この若者の声をきっかけに、我々に興味を持っていた周りの男たちが一斉にしゃべり出す。

「どこのホテルに行くんだ?えっ?シェルトンイン?」
「あそこは○×で降りればいいよ」
「でも、降りてからまたリキシャに乗り換えなきゃだめだ。歩くには遠いよ」

 独特のインド訛りの英語。なかなか慣れなくて聞き取りにくい。その上あちこちの人が一斉にしゃべり出すからたまらない。
 でも、バス降りてから遠いの?いったいどうすれりゃいいんだぁ?もうすぐ3時だよ、さんじっ。

 インドの夜というのは街灯も信号もなくて、ほんとーに真っ暗。生まれてこの方、日本でこれほど暗い夜を過ごしたことは一度もない。山の上より絶対暗い。
 だから、バスの窓から外を見ているだけでめちゃめちゃ怖い。その怖い道を歩くことを想像してひとり、おどおどしていた。

 気がつくとバスは終点のバスターミナルに着いてしまった。
 客待ちのリキシャーマンがめざとく我々を見つけ、我も我もと何かを訴える(勿論、乗れっていっているのだ)。

「・・・ここで降りないといけないんだよねえ」

 今の我々にはこの数のリキシャーマンは脅威である。


 次々にバスを降りていくバスの乗客を見ながら途方に暮れていた。
 最後の乗客が降りるのを見ると、もう観念するしかない。自分たちのザックに手をかけ、降りる体制をとったのに気がついた運転手が、片言の英語でこう言った。

「10分ほどしたら戻るからそれまで待ってなさい」

 えええ?待っていろって言われても~。
 バスの外では相変わらずリキシャーマンが我々に向かって声を上げている。ばちっと目が合うと引きずりおろされそうで、ささっと目をそらして二人でただ座席に座っていた。

 しばらくすると運転手が戻り、またバスのエンジンがかかった。って、えええ?どこいくの?!

 我々が乗っているのを忘れていないか?あなたが待てと言ったから素直に待っていたんだ~。ホテルの場所を教えてくれるってことなんじゃないのか?

 あわててホテルの場所を尋ねた。でも、このとき、この状況で、動転していた我々ができる精一杯の意志表示は、 ここのホテルに行きたいんだ!! と、ホテルカードを見せることだけだった。
 今思えば、英語しゃべれない人が英語読めるわけないんだが。

 運転手は一応ホテルカードに目を落としたが、やはり読めないらしい。彼は彼で、自分のできる精一杯の英単語会話で話す。

「HOTEL?」
「うんうんうん。そうなの、ホテルなの。シェルトンインよ~」 (←日本語だった)
「O.K. シェルトンイン。ノープロブレム。」

 ノープロブレム。

 この後のインド旅行で何度となく聞くことになるフレーズだ。

 この運ちゃんもご多分に漏れず。何を聞いても「シェ~ルトンイン。ノープロブレム」と陽気に歌うように繰り返すだけだった。


 数分後、バスはとある道路の脇に停車した。

 よく見るとそこには一人の男が立っていた。
 「この時間にいったい何者?」と思いきや、実は、この人はシェルトンインホテルの従業員。ホテルはバスの入れない路地の中にあるので迎えにきてくれていたのだった(普通はバスで乗り入れたりしないけど)。

 ・・・ここで自体が飲み込めた。つまり、空港で我々が怒らせたおっちゃんがホテルに連絡しておいてくれたんです。空港を出る前にバスの運転手に耳打ちしたのはこれだったのです。
 きっと案内窓口に戻った後にホテルに電話して「困った日本人女が二人行くから何とかしてやってくれ」とゆってくれていたのです。

 運ちゃんはバスを止めると、我々をホテルの前まで見送ってくれた。そして、ホテルの中に入るのを見届けると、手を振りながら笑顔で帰っていった。

 「インドは怖い」「インド人は日本人とみると騙そうとする」と、勝手に思いこんでいた自分がとても恥ずかしかった。

 慣れない外国だから気を付けなければならないことはたくさんあるし、やっぱり日本以上に気を張っていなければならないと思う。でも、何から何まで疑ったりするのはよくないことだなぁ。

 気分を害しながらも、親切な対応をとってくれた空港窓口のおじさんとバスの運転手、さらにホテルのあんちゃんに感謝しながら、初めてのインドの夜は更けていったのでした。

タグ:インド入国|デリー

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