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  [概要: 賄賂って英語を初めてしった。]

 第16話 UNDER THE TABLE体験 [デリー]

 チャイを4人分頼み、一呼吸おいたところで、ボスはゆっくりと話始めた。

「今日は飛べない。なぜなら72時間前までにリコンファームをしてなかったからだ
(←自分を棚に上げるな~といいたいが)
だけど、$100を払えば今日飛ぶことが出来る」

 はぁ?何が言いたいの???

「何故?ファーストクラスやビジネスクラスには空きがあるの?」
「違う。同じクラスだ。エコノミーだよ」

 ますます訳がわからない。

 我々が不信感を抱いていることを悟ったのか、ボスと一緒にやってきた背の高い男(ナジールという)が初めて、話しだした。

「いいか、ここはインドだ
インドは、君たちの住んでいる日本と違ってすごくクレージーな国なんだ。みんなお金のために何でもやる。」

「君らが、$.100を航空会社のオフィスの机の下からそっと渡すだろう?すると、今まで「ノーシート」と首を振っていたヤツも、あっさりと「O.K.」ってコンピュータの端末をたたくんだよ。」

「これで、あっという間に、君たちの席が確保されるのさ。インドはそんなクレージーなところなんだよ」

 でもお金を渡したからといって席が空くわけはない。とにかく満席は満席の筈である。

「例えば我々が$100ドル払うことで他の誰かの席がなくなるの?」
「違う。そんなことはない」

余計に訳が分からない。

 いつまでも納得しないことにいらだったのか、ボスは紙とペンを取り出し、こう書いた。

"VIP CLASS"と。

 納得。大いに納得。

 日本の新幹線などでも要人が急に移動するときのために席をいくつか確保しておくと聞いたことがある。つまり、緊急に備えて、VIP用に空けてある席があるということなのだ。
 そのシートを$.100で明け渡してやろうっていうことですね。そして、その金は席を用意した係員のポケットに入るってことか。

 日本では1日アルバイトすれば$.100なんて簡単に手にはいる。しかし、インドで$.100稼ぐのは大変なこと。逆にいえば$.100くらい出さないと動いてくれないということにもなるけども。

 とはいっても今の我々にとって、$.100は痛かった。
 知人にインドは物価が安いと聞いていたので、この旅行には余りお金を持って来なかった上に、予定外で車をチャーターしてかなり散財した。

 しかし、背に腹は代えられない。$.100払うしか手だては残されていない。
 だって、スリランカで待ち合わせをする友人は、既に日本を発っているのだ。しかも、待ち合わせにホテルとか予約しとけばいいものの、「空港まで迎えに行くから」って海外のくせに気安い待ち合わせ方法である。
 
「ホントに、$100払えば大丈夫なの~?」
「俺を信じろ。大丈夫だ!」

 この台詞、この旅の間に、何回聞いただろう??

 ちなみにこの賄賂ですが、インドではとても一般的な手段で、数年後には賄賂の額も跳ね上がっていた。
 そして、今回は本当の本当に満席だったようですが、国内線に乗るときなど、ぎりぎりまでOK出さなかったくせに、搭乗してみたらがらがらだったりしたこともあった。

 今時の日本の庶民にはびっくりするシステム(?)である。


 その後、ボスの店の地下にある宝石店に連れていかれ、そこでただ待つように指示された。
 この暗く怪しい場所は、ナジールがマネージャーをしているらしい。席取り交渉はボスではなく、ナジールがするとのことで、我々は数時間もの間、店でぼーっと彼を待っていた。

 その宝石店は4畳ほどの小さい店にも係わらす、従業員は常に3、4人いた。
 我々を気遣って、いろいろ話しかけてくれたり、弁当を勧めてくれたりするのだが、場所が場所だし、どうも落ち着かない。

 時々、ボスもチャイを持って、陣中見舞いにやってきた。
 一体、ボスに何回チャーイをごちそうになったのか、数え切れないくらいである(長居すると何倍もごちになる)

 先述のように、その店は薄暗い地下にあり、とてもじゃないがお客なんて来なそうなのだが、何故か時々客はやってきた。それもほとんどが金持ちそうな欧米人だ。
 見るからに高そうなスーツを着た太ったおばさん。耳にピアスの穴をいくつもあけた若い男。どの客も熱心にいろいろと宝石を品定めするのだが、買っていく人はいなかった。

 うーむ。賄賂で飛行機の席を空けてもらうのを待っているという行為も、この店の存在も怪しさ満点。

 日本の宝石店と比べた思いこみも手伝うのだろうが、いやぁ、私ら一体なにしてるんだろう?

 ・・・そもそも日本に帰れるのかねぇ。

タグ:インド旅行記|デリー|賄賂

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