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インド(スピティ編) > 第10話 風呂ナシ、飯ナシ、恥もナシ(キー) [概要: キーでのテントでの生活はサバイバルで楽しかった。] 第10話 風呂ナシ、飯ナシ、恥もナシ(キー)
この日の朝は、サンドイッチの気分。サンドイッチが食べたい気分ではなく、サンドイッチになった気分だ。 昨日、クリスが布団を抱えて来たわけだが、ここキーのテントはサルチュの様に、ベッド、布団、毛布完備のデラックステントではなく、ただ雨風が多少ならば防げる程度のテントである。 地面はむき出し、ベットはおろか毛布も布団も何もない。ほしけりゃ自分で調達せねばならない。 「どうしたもんかなぁ」とボーゼンとしていた我々を横目に、クリスは調達してきた布団を地面に引き、着々と自分の空間を作りだしている。ホントにマイペースだなぁ、この人。 貸し布団屋テントへ行ってみると、小太りでひげを蓄えた何処にでもいそうなインド人のおっさんがいた。 「布団は10日間で1枚90ルピー。毛布はないよ。ベッドは今在庫がない。明日には届くけど。」 テント泊で貸しベッドと聞くと不思議かもしれないが、ここでいうのは折り畳み式のパイプベッドのレンタルサービスである。 サルチュのテントもパイプベッドを使用してあったが、これがなかなかであった。 我々日本人がイメージするテント泊というと、地面にビニールシートを引いて、せいぜいシュラフで睡眠するという感じだが、ベッドで寝れたのは意外な喜びだった。 でも、ここでは在庫切れ。・・・いよいよアウトドアライフの始まりだ。 「布団は向こうのテントに入ってるから好きなのを選んで来な」 貸し布団を入れているテントも類に漏れず、ただ雨に濡れないように布団を覆っているだけのもの。 きっと、どでかいトラックでここまで布団を運び込んで無造作に投げ入れたのだろう。 一見普通の布団だが、ちょっと手で触れると地面と同じ色の埃がもあっっと舞う。 う、これは・・・布団として使ってもいいんだろうか? 結局、破れて綿が出ているのとか、著しく汚いモノを避けて二つ布団を選んだ(あまり選択の余地はないけど)。 両手に抱えた瞬間にぶあっと埃が舞ったとか、手触りが妙にじゃりじゃりするとか、そういうことをいちいち気にしていてはいかんのだ。 「アタシはシュラフあるから布団は一つでいいやー」 ここはKさんの勝ち!荷物が多くてもこう言うときに役に立つ。 選んだ二つの敷き布団を持ってテントに戻った。 地面の石をどかして平らにし、一つ布団を敷く。そして、その上に雨期に備えてデリーで調達したでっかいプラスチックバッグ(要するにビニール袋)をひいて寝ころんだ。 さらに、もう一つの敷き布団をかけて・・・完成! おっ、まあまあなんじゃないの?ちょっと重いけど、この重さがちょうどいい。 シングルベッドに敷く用の敷き布団なだけに、横向きで寝る人や寝返りを激しく打つ人には不向き。幅がないから密閉されなくて風邪を引きます。お金払って毛布買った方が正解です!勿論1枚じゃ足りません。ここ、ヒマラヤですから。 ワタシはわざわざ貧乏旅行をするタイプではないが、時と場合によっては落ちるところまで落ちられる。 日本でだって、高速の渋滞のすり抜けがかったるくて、サービスエリアのベンチでトラック野郎に紛れて寝たこともある。だって、自分の命を削ってまで快適さやプライドにこだわってもしょうがないもん。 ま、とはいっても、こういう経験が実は楽しかったりするんだけど。 「あー、ワタシってサンドイッチだー。しかもホットサンド!」←はじっこがぴっちり密閉されてた。 なんて、起きてすぐに考えてるワタシってば、自分で言うのも何だが、なんだか楽しそう(笑)
トイレ前水道から戻りのんびりとしていると、頭の先まで濡れたNさんが戻ってきた。 「ついでに頭も洗って来ました」 こういうとき髪が短いと便利だ。顔を洗うのと感覚が同じだモノ。 朝の身支度が終了したところで、3人で朝食を取りに行くことになった。 テント村のレストランテント街を歩き回り、奥にあるチベタン食堂に落ち着く。 このテント村は、一般客の宿泊用のテントの固まり、レストランテントの固まり、お土産屋の固まりなどなど、テントの種類によってブロック分けされていた。 レストランテントは、それぞれテントの姿カタチが異なる。店を出す場所代だけイベント本部に支払い、その他の道具いっさいはレストランが持ち込んでいるらしい。 そして、店を出している人はチベット人だけでなく、インド人も多かった。 仏画や仏像、数珠などを売るとある商人など、ブッダガヤからやってきていたし、はるばるネパールから来たという人もいた。 それほどカラチャクラに人が集まり儲かるって事だろう。 帰国後、年に一度、11月頃行われるプシュカールのラクダ市を扱った番組を見たのだが、番組で貸し布団屋の主人がインタビューに答えており、「儲かる?」との問いにこう答えていた。 「ひとつ1日につき10ルピーで貸してるけど、儲かってるよ。もう半年分稼いだよ」 この人達がスピティーにも来ていたとしたら、今年はもう働かなくてもいいって事だ。すげー。 さて、その朝食を取ったテントでのこと、「チャパティーある?」の問いにウェイターやってたおっちゃんは一言。 「没有!(メイヨウ)」 我々は中国人じゃなーーーい! きっとこの家族、チベットから亡命してきたばっかりなんだろう。 チベット人、中国人、インド人、ネパール人。インドの地で行われるカラチャクラというチベット仏教のお祭りを背景に、多種多様の民族が入り交じって商売を繰り広げるこの不思議な空間に身を置く自分が面白くてたまらなかった。 というわけで、テント村の様子はここから
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