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インド(スピティ編) > 第20話 もーー、家族連れでも油断できないのか?(シムラ-アムリトサル) [概要: アムリトサルまで列車で移動~。疲れた・・・。] 第20話 もーー、家族連れでも油断できないのか?(シムラ-アムリトサル)
午前8時前、シムラ駅に着いた私はすぐさま奥の待合室に滑り込んだ。 目立たないように(日本人顔なので存在するだけでかなり目立つけど)ひたすら静かーに端っこにおさまる。ああ、早く列車来ないかなぁ。 列車がホームに入ってくると素早く近くの車両に乗り込んだが、始発駅のハズなのにすでに人が乗っている。 景色を眺められる様ないい席はみーんな取られてしまっている。車両一つ一つ、のぞき込む度に先に乗り込んでいる若い男とバチッと目が合う。(要するに注目を浴びている) 「窓側はあきらめかなぁ・・・」 がっかりしていると、列車の中から中年のご婦人から声がかかった。 「アナタ!この車両に乗りなさいよ!」 その車両だけ何故かガラガラに空いていて、乗客はそのご婦人ただ1人。 そうこれが噂に聞くレディースコンパートメントだったのだ。 「ここに座んなさい」 向かい合わせになった1人掛けのベンチを指さして言う。 言われるままにザックを網棚に乗せ、どかっとその席に座り込んだ。 インド旅行は面白い。だが、時にすごく疲れる。 南アジアの人たちとあまりに違う顔立ちの我々はとても目立つのだ。 英語コンプレックスの日本人は、外人を見ても遠巻きにちらちらと眺めるだけで話しかけたりしない人が多い。 でも、インド人は違う。 好奇心が旺盛というか、積極的というか、言葉がわからなかろうが何だろうがかまわず話しかけてくる。特に男性がそうである。 何処に住んでいるか、学生か、働いているか、家族構成に父親の職業などなど。 初めて会った人間に向かい、根ほり葉ほりいろんなことを聞いてくる。 ひとり旅をしていると、そうやって相手にしてくれることは嬉しいことが多い。 だが旅行者っていうのは勝手なモノで、急にほうっておいてもらいたくなるのだ。 のーんびりした山から下りてきたばかりの私は、急にインドっぽい場所に来てちょっと疲れてしまっていた。 男性と違ってインドの女性は実に控えめ。 「外人女がいるなぁ」と思ってはいただろうが、特にいろいろ詮索されるわけでもなく、ただ列車にがたごと揺られていた。そして、この車両に乗っている限り痴漢やナンパもあり得ない。 だからあまりにリラックスしすぎて、ほとんど寝ていた。わざわざこの列車に乗るためにシムラまで来たっていうのに・・・。 記憶にあるのは、窓の外に見える木々と時々現れる煉瓦づくりの鉄橋、そして右に左に入れ替わって現れる山の斜面から見える町並みくらいだ。 到着予定時間に遅れること1時間。トイトレインは麓のカルカの駅に着いた。 カルカ駅で2時間ほど時間をつぶし、アムリトサル行きの特急列車に乗り換える。列車の切符はシムラで予約しておいたのだが、アムリトサルには日が変わらないうちに到着するため、二等で行く限り特に予約をしなくても良かった(余裕で座れる)。 予約できる二等席は寝台車両になっている場合が多く、寝台として利用されない時間は席の数以上に 人が乗り込んで来たりする。だからほとんど予約の意味はないようなモノ。 けど、私は先に切符を手にしていると安心感があるので、近距離でもできる限り予約をしてしまうのです (この場合近距離ではありませんね)。 アムリトサル到着は夜の12時近かった。私の様にカルカからアムリトサルまで一気に行くような人は少なく、主要駅に着く度に乗客が入れ替わった。アムリトサルが近づくにつれて、ターバンを頭に巻いたスィク教徒の人口密度が高くなり、否応にも気分が盛り上がる。 最終的に、私の周りにいたのはデリーから来た家族連れで、小さな子供が寝台によじ登ったりお菓子を振り回しながら走り回ったり、きゃいきゃいはしゃいでいた。 いつまで経っても疲れを見せないそのパワーに、インドの子供は夜更かしだなぁと妙に感心したモノだ。 その兄貴だろうか。デリーの大学に通っているという青年が、わざわざ席を移動してきてやたらと話しかけてくる。 めんどくさいこともあって、私が片言の英語で適当に相づちをうつ度に「グゥッド!」「オーケェ~」と大げさに反応し、そして何を言っても人の目を見ながらやたらと褒めちぎるのだ。なーにがびゅーてぃほーだ!気持ち悪い (自分が美人ではないことくらい百も承知である)。 「アムリトサルについたらどうするの?明日会わない?」 家族連れだから油断をしていたが、此奴もナンパだった。 「友達と待ち合わせしているから」という下手なウソもまじめに受け取る。 「友達は日本人?女の子?」その子も一緒でいいじゃんっていうのである。空気を読んでくれ。 結局、要領が悪く、うまくあしらえなかった私は宿泊するホテルを知られてしまった。 青年はアムリトサルに住んでいる友達と一緒に朝迎えに来るつもりである。 翌朝、普段の私には考えられないくらいくらい早起きをし、さっさと宿をチェックアウトした。シムラから引き続き、逃げ通しのワタシ。 私がひとり旅の達人になる日は来るのだろうか・・・。
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