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  [概要: 国境越えで虐めに合ってしまう?(私は大ジョブでした)]

 第4話 たかが国境。されど国境。(アムリトサル-ラホール)

Shatabdi exp. パキスタンのドライブインのソフトドリンク屋。
パキスタンも印度と同様、コカコーラよりもペプシだった。
そして、MIRINDAも。
MIRINDAは日本にある飲み物に例えると、ファンタオレンジってとこです。

 インドとパキスタンの国境の町ワガまでは、アムリトサルから小一時間ほどバスに揺られてやってきた。

 まず、国境前の私設両替商でインドルピーを全てパキスタンルピーに交換。そして、門をくぐってイミグレーションまでひた歩いた。
 陸路の国境は数カ国見てきたが、ここの事務所も例外ではなく、とても設備が簡素でみすぼらしい。その割に、係の人間の数だけはやたらめったら多い。
 インドじゃその辺の小売店ですら、必要以上とも思えるくらいの数の人間が働いてたりするが、ここの場合はきっと、陸路だし、大量の荷物を持ち込む人間が多くて、それを裁くのに人数が必要ってことよ。・・・たぶん。

 列車の切符売り場と見まがうような簡素な窓口にパスポートを提出し、出国印をポンっと押して貰うと、部屋のど真ん中のテーブルで荷物チェックを受ける。

 時刻は既に夕方の4時を回っていた。
 こんなぎりぎりの時間に国境を越えようとしているのは私くらいで、暇をもてあました職員は全員こっちに注目している。
 やだなぁ。お役所でこの仕打ち。

「インドは何回目?どこに行ってきたの?3日前に来て、もう行くの?」
「パキスタンなんかに行ってどうするんだ?行くな行くな」

「インドとパキスタンの仲が悪いって?んなもん政府だけが争ってんだよ」

 そんなことを言う人もいるけれど、どちらかと言えば、彼の様に「パキスタンなんかに行っても意味がない」と訳もなく断言する人の方が多い。
 単にパキスタンを毛嫌いしているのか、自国にものすごい誇りを持っているのか、パキスタンに対する焼き餅なのか真相は全くわからないが、国境を越えようとしている旅人に今更行くなとか言うなよ。

 適当に聞き流していたら、だんだん話のピントがずれて来て、

「そうか、またインドに戻ってくるのか」「それだったら、そのとき、一緒に酒でも飲もうぜ」

 って、ナンパかい。おまえらまじめに仕事しろ~!(こっちはまじめに質問に答えてるのよ。)


 インドのイミグレを無事抜け、パキスタンとの境に架かる橋にさしかかった。その橋を挟むようにして設置された頑丈そうな門の前に、それぞれ一人ずつ、制服姿の軍人が立っている。
 いろいろなメディアで取り上げられているし、外国人でも知っている人は多いが、ここアタリの国境では、毎日、本当に毎日、両国軍によって、日没時に国旗降納の儀式がある。

 パラッパラッパパーっと鳴り響くトランペットの音を合図にして、両国軍の代表の軍人が、ざくざく土を踏みならして、国旗掲揚台の前まで突き進む。まるで、橋の向こう側への威嚇である。
 いくつかの大袈裟パフォーマンスの後、やっと旗が降ろされるのだが、冷静に眺めると滑稽というか、子供の喧嘩みたいなもんだ。

 せっかく生で見るチャンスだし見てみたい気もするんだけど、日没まではあと数時間あるしなぁ。
 こんなへんぴなところから、暗い中一人で町に向かうほどの勇気はないので、お名残惜しいがさっさと橋を渡ってパキスタンの領域に入った。ここからは、時計の針がぐるっと30分戻って、再び16時過ぎとなった。

 パキスタン側に入ってすぐ、路上でいったんパスポートチェック。
 係の軍人はパスポートから私の個人情報を書き写しつつ、尋問のような、好奇心のような質問を浴びせる。

 パキスタンと日本は、昔、ビザの相互免除条約を結んでいたので、パキスタン人は結構日本に出入りしていた。そのついでに・・・と言ってはおかしいのだが、不法就労をしていた人も多かった(だから、相互免除がなくなったのだ)
 つまり彼らは、日本で働けばどのくらい稼げるか、日本人がどのくらい給料を貰っているかを知っている可能性がある。そんな彼らに、

「おまえは日本でいくら給料を貰っているんだ」

なんて聞かれると、少々言葉に詰まる。インド人に聞かれるよりも答えにくいっ。

 最終関門、パキスタン側のイミグレにたどり着くと、窓口にパスポートを出した。係の親父は氷の様な冷たい目でギロリとこちらをにらみつけるだけで、微動だにしない。

 が、急に思い立ったかの様に、ちらりと自分の腕時計に目を落とすと、なんだか諦めたようにため息をつき、ポンっと入国スタンプを押してパスポートを投げ返した。

 くそう。なんか、こんなに冷たい態度をとられる憶えないんすけど・・・。


 数日後、パキスタンの山の上に登ると、同じようにアタリの国境を越えてきたガイジンにたくさん出会った。

「あそこの国境越えるの大変だったでしょ~?」
「ええ?別に。普通に通れたけど・・・。」

「マジ~??俺らんときは、ホントあの親父すげーむかついたっすよ。パキスタンに何しに行くんだ。観光ビザはどうした?ってしつこくて。」
「「俺らパキスタン人が日本に行くにはビザがいのに、どうして日本人はビザもなしでパキスタンに来るんだ!」とか言って、1時間くらいはんこ押してくんねーし」

「俺は白人や韓国人と一緒だったけど、奴らにも同じ対応だった」
「無事国境を越えたあとは、みんなで「あいつはバカだ!」って言ってたぜ」
なんて書いてあるのかは知りません
ウルドゥー語はこんな字。
意味がわからんと模様と一緒だ。
 ↑国境とは関係ありません。

 彼らの話を総合すると、ほとんどの人がアムリトサルに宿泊し、早朝、遅くとも昼には国境に来ていた。
 私は、ほとんどぎりぎりの時間に国境に着いたので、手続きをはしごし、最後の難関にたどり着いた時は、パキスタン時間で16時40分ごろだった。

 なるほど。あそこで時計に目を落とした意味がようやくわかった。終業時間だったから、私にはなーんにも言わなかったんだ。そういや、あの親父、直後にバイクでぶぶーんと帰ったわ。
 早朝だったらたっぷり時間はあるもんね。ガイジンいじめるのは快感だろう。


 インドのガイドブックは毎年改訂されるのに、パキスタンのそれは数年に一回しか改訂されない。

 旅人がいない→買う人がいない→取材に行かない→新しい情報がない→改訂されない→余計に旅人が行かない。。。という様な堂々巡りを繰り返してるんでしょう。(ちなみに2001年は数年ぶりに改訂されました)
 パキスタンだって、観光地としての見所はあるにはあるけどちょっと地味め。そして、テロの多さで危険というイメージがあるのか、イスラム教に対する偏見か、それとも政府のPRがヘタなのか、とにかく観光客がとても少ない。
 今までは、国家として、外国人の流入をあまり歓迎しなかったというのもあり得るけれど。

 冒頭でも書いたけど、今年になって、パキスタン政府は、観光客の増員を見込んで、日本人を含む各国の旅行者に30日間のビザの免除措置をとった。これは、相互免除条約ではなく、一方的な免除措置だ。

 だから、この親父のように、複雑な気持ちでいる国民もいて当然。ここで姑息な嫌がらせをすることは、むしろ逆効果だとは思うけど、憂さ晴らしにはなるだろう。
 身近なところでは、韓国人も日本に対して同じ気持ちでいるのだと思う。
 ※ 2002年の日韓共催ワールドカップの前後はビザ免除になってましたけど、今はどうなんだろう?

 インドのイミグレ職員はガイジン慣れしすぎて軽薄だし、パキスタンの職員は少々陰険だったけど、ある意味どっちもガイジンのせいでねじ曲がった気がする。
 だから、「むかつく!」とか「あいつはバカだ!」とかそんな言葉ですませるのはちょっと浅はかだけど、まあ、結論としては、「国境をぎりぎりに越えるのもアリ」ってこと。

 早朝出発はいじめにあうかもよ~。   ・・・こんなオチでいいのか?


- インド・パキスタン旅行記:木っ端みじんの旅 目次 -
プロローグ
第1話 相変わらずワルはワル。(その1)
第2話 相変わらずワルはワル。(その2)(
 →【写真】デリーでいろいろ食らう。
第3話 やっぱり、アムリトサルが好き。
 → 【写真】アムリトサルから国境の町アタリへ
第4話 たかが国境。されど国境。
第5話 早い、安い、綺麗・・・でも不快?
第6話 町を歩けば、男にあたる。
 →【写真】何もないけど好きな町。ピンディ
第7話 日本人嫁獲得大作戦?
第8話 旅、此即ち学習
 →【写真】ギルギットを歩く。
第9話 風の谷のナウシカごっこ
第10話 フンザドライブのすすめ
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その1
第11話 旅の恥は掻き捨てないように
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その2


第12話 気まぐれスープと謎のシェフ。
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その3
第13話 山を下りるもまた一苦労
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その4
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その5
第14話 ラホーール、おそるべしっ(その1)
第15話 ラホーール、おそるべしっ(その2)
第16話 こんな列車の国境越え
第17話 車掌も密かにワル。
第18話 我ラクダのしりに物思う
第19話 損して得取れって・・・真実よ
第20話 やっぱ、アグラの街はうざい!
第21話 素敵なリキシャワラとの出会い
第22話 カルチャーショック受けちゃった?
第23話 アーユルヴェーダで禿を治そう!
第24話 そして、木っ端みじんの旅
エピローグ

タグ:アタリ|インド|パキスタン|ラホール|国境越え

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