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  [概要: ナウシカのモデルはフンザっていう話ですね。]

 第9話 風の谷のナウシカごっこ(ギルギット)

ギルギットの親子  ギルギットの道ばたで出会った親子。
 パキスタンも山の上までくると、顔立ちが違ってくる。モンゴロイド系などと混血を繰り返したようなカンジ。
 ここいらの標高は高いのだが、チベット系の人の様に日焼けはしておらず、み~んな色白。
 ・・・と言うことは、君ら冬は外にでないな?

 いきなりですが、ギルギットでダウンしました。

 ギルギットに着いたとき、いつものように初めて訪れたその町を徒歩で一周してみた。私は頭の中で町の立体地図を描かないことには、次の行動に出れないタチなのである。

 思い起こせば、やたらとだるだるだった。足が重かった。食事が旨いと評判の宿で、食事がのどを通らなかった。夜の冷え込みに、シャワーのぬるま湯に震え上がり、気がつけばベッドにバタンキュー(ところで、バタンキューって一体どこの言葉?)

 今回の旅は、訳あってパキスタンの滞在期間が制限されている。1週間後に約束があった。それもインドで。
 パキスタンの道がキレイに整備されており、2日もあれば1000キロを超える距離をもブッちぎれることを身をもって証明したばかりだが、そのお陰でぶっ倒れてりゃ世話ないっちゅーに。

「・・・ピンディまでの飛行機のチケットってお願いできます?ついでに・・・ジープチャーターするといくらかなぁ」

 私は時間をお金で買うことに決めた。


 ところで、私、日本人宿といわれる場所に、まるっきり1人で足を踏み入れたのは今回が初めてだった。
 なんていうか、宿も独特だけど、集まる人間も独特。 長期旅行者との会話では、旅の目的や時間の流れが全く違って、なんかこう、感覚のずれにとまどっていた。

「カリマバードはどう?どこかお勧めってある?」
「えーとね、オールドフンザはまあまあだけどメシがまずい。コシオサンはメシがすっげー美味いけど、あそこ今、ベッドに虫が出るんだよね。ハイダーは女の子はイマイチ。宿の従業員がうざいってゆってた」

 短期で効率よく、しかも快適に旅をしたいと考える私と、長く、のんびりと旅を続けたい人では、求めているものが違う。宿一つとっても、彼らが選ぶのがドミトリーが主体の宿。 安くて、話し相手がいて、ご飯が美味しくて。それだけ揃ってれば充分ということだ。

 そして、こういった旅行者の多くは、くそ暑い平地の気温をやり過ごした快適さからか、「ホントはフンザに来るつもりはなかったんだけど・・・」といいながら、ビザの延長手続きに出かけていく(※ギルギットで30日間のビザの延長ができる)
 山の上の生活に退屈するまで、さしたる目的もなく、ギルギット、カリマバード、パスーなど、周辺の村をローカルバスで何度も行き来し、時たまクルタパジャマーにチャッパルという超軽装(しかもスカイブルーのクルタパジャマー)のまま、氷河トレッキングをしている。

 そのひょうひょうとした姿を見ていると、あくせく動き回ったあげくに熱まで出した私はバカみたいだ。でも、時間ないんだもんっ・・・。
フンザから望んだ山
フンザの当たりで見れる景色

 長期旅行者といってもいろいろで、まるで大型のバイクにでも乗っていると錯覚しそうなほど重たい荷を背負ったチャリダーの兄ちゃんや日本の生活に疲れて傷心旅行に来ていたおねーさんもいた。 そういった人たちとは、日本にいるときと変わらぬノリで割とスムーズにうち解けられた。目的があって旅をしている人は、自分のことをよく話してくれるので会話が成り立ちやすい。

 ところで、今回の旅では、ある意味、ここでしか出会えない(いや、もしかしたら幕張メッセや東京ビッグサイトのアニメフェアでお目にかかれたかもしれない)人物に出会った。

 坊主頭のナウシカである。

 カラコルムハイウェイは、ギルギットから先、カリマバード、パスー、スストとフンジャラーブ峠を越えて中国に至る。
 カリマバードの辺りはいわゆる「フンザ」の中心で、日本が誇る有名アニメーション、「風の谷のナウシカ」のモデルになったといわれる場所。

 ゆっくりと流れる氷河(の溶けた水)の冷たい川、緑に包まれた眼下の村、目の前にそびえ立つラカポシ、ディランなどの峰峰。峡谷の斜面の所々に建つおもちゃのような家。 春には一面杏の花が咲き乱れ、その美しい景観を一目見ようと、世界中から観光客が訪れる美しいところだ。

 ちなみに、ケイコさん曰く、この年は異常気象の為、杏の開花の時期が大幅にずれてしまい、多くの観光客が肩すかしをくらったらしい。ギルギットにもインターネットはないワケじゃないので、出かける前に様子を聞いてみるのも手かもしれませんな。(迷惑にならない程度にね)

フンザから望んだ山
アニメから飛び出た?
 話がだんだん横道にそれてきたが、もう一度言うと、フンザは「風の谷のナウシカ」のモデルになった土地である。

 いわれてみれば、確かに、風がひゅーーーっと吹き抜けてゆく谷を見おろしていると、そこに大量のオームの姿が、オームの触手がわさわさとナウシカを取り囲む様が思い浮かばないことはない(宮崎アニメのファンではない私は、残念ながら、こういう特殊なシチュエーションしか記憶にない)

 子供の服装も明らかにパクリである。アニメにこんな服装が使われていた気がする。
 そして、なにより、この彼女が、車のパンク修理をぼーっと眺めていた私を見つけた途端、木によじ登って取ってきた木の実。口の中ではじけたその実はほろ苦く、「おお、コレはまさにチコの実!」とにわか宮崎アニメファンになり、1人楽しんでいた。

 こんなパキスタンの山奥に、にわかファンがいるなら、当然、本物のお宅がいてもおかしくない。
 そう、「風の谷のナウシカファンご一行様」は、ツーリストコテージに宿泊していた。


 彼らがギルギットに来てまずしたことは、衣装作りである。

 スカイブルーの布地を1人当たり5メーター(って、勝手な想像(笑))、白と赤の布は各少々といったところか? それらをぎゅっと握りしめ、次に向かったのは洋品店。 日本から大事に運んだナウシカのイラストを元に、彼女のトレードマークである胸元の模様まで、徹底的に指導し、ワンピースを4枚作り上げた。

 勿論作って満足ってワケではなく、洋服は着るモノだ。着なくちゃ意味がないのだ。例え持ち主がいがぐり頭の男の子だったとしても、作ったからには着るのが当然である。
 ご一行様(女性2人、男性2人の4人グループ)は、鞄に衣装を忍ばせ、カリマバード行きのバスに乗った。やはり、ナウシカの聖地はカリマバードなのである。

 想像してほしい。カリマバードで、緑がいっぱいの、風が吹き抜けるさわやかな山間の村で、いがぐり頭の男2人とかわいらしい女の子2人(実は女の子はかわいかったらしい)が、胸に白地のエンブレムの入った、スカイブルーのワンピースを着て踊ってる姿を。 4人おそろいの衣装で「らんらんらららんらんらん・・・」とやってるところを。
 国際アニメフェアでもなかなか見られない光景だろうなぁ(もしいたらすいません。憶測なので)。

 やってる本人も一度やって満足したのか、ギルギットで出会った私の前ではそれを再現してはくれなかった。

「でもさ~、この衣装、ちょっとこの胸のマークが大きすぎるんだよね~」
「着て見せてよ~」
「やだ。俺が着ると気持ち悪いんですよ」

 なんだ、自分でわかってたのか(笑)



- インド・パキスタン旅行記:木っ端みじんの旅 目次 -
プロローグ
第1話 相変わらずワルはワル。(その1)
第2話 相変わらずワルはワル。(その2)(
 →【写真】デリーでいろいろ食らう。
第3話 やっぱり、アムリトサルが好き。
 → 【写真】アムリトサルから国境の町アタリへ
第4話 たかが国境。されど国境。
第5話 早い、安い、綺麗・・・でも不快?
第6話 町を歩けば、男にあたる。
 →【写真】何もないけど好きな町。ピンディ
第7話 日本人嫁獲得大作戦?
第8話 旅、此即ち学習
 →【写真】ギルギットを歩く。
第9話 風の谷のナウシカごっこ
第10話 フンザドライブのすすめ
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その1
第11話 旅の恥は掻き捨てないように
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その2


第12話 気まぐれスープと謎のシェフ。
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その3
第13話 山を下りるもまた一苦労
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その4
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その5
第14話 ラホーール、おそるべしっ(その1)
第15話 ラホーール、おそるべしっ(その2)
第16話 こんな列車の国境越え
第17話 車掌も密かにワル。
第18話 我ラクダのしりに物思う
第19話 損して得取れって・・・真実よ
第20話 やっぱ、アグラの街はうざい!
第21話 素敵なリキシャワラとの出会い
第22話 カルチャーショック受けちゃった?
第23話 アーユルヴェーダで禿を治そう!
第24話 そして、木っ端みじんの旅
エピローグ

タグ:パキスタン|フンザ|風の谷のナウシカ

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