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  [概要: 旅に出ると自分は日本代表なんだなぁと自覚する今日この頃です。]

 第11話 旅の恥は掻き捨てないように(ギルギット-パスー)


乗り合いミニバス  山の上の公共交通機関といえば、これ(タクシーはある)。乗客が集まり次第出発します。

 屋根の上に乗れば景色はキレイでしょうが、強い陽ざしで熱射病になるし、その前に危険です。一歩間違えば崖に真っ逆さまだよ~。

 カラコルムハイウェイは、山脈を縫うように走っているインダス川、フンザ川に沿って作られている。

 ちょうど私が夜中に走り抜けた、ダッソー、チラスの辺りまでは、山の腹のど真ん中を無理矢理削り取ったように道が走っており、インダス川は昼間でも車窓から全く確認できないほど、遙か下方を流れていた。それが、ギルギットまで上がる頃には、幅広で、ゆったりとした流れの川岸が目の前に現れ、川に降りることもできるようになる。

 川の水に手を触れると、ひぇ~っとまさに凍り付くような冷たさ。氷河が今まさに溶けて流れ出来た川なのだ。 氷水ですよ、氷水。

「飲まないの?ところで、そのペットボトルの水はいくら?」
「25ルピーもするの?うわ、信じらんない」

 そんなこと言いながら、ドライバーのアブドゥルは、河原にしゃがみ込み、さっと水をすくって飲み干した。

 別名?風の谷のカリマバードを抜けしばらく走ると、山の表情は一変する。

「こう、なんていうか、岩が鋭く切り立ってるんだよね」

というのは、ツーリストコテージのケイコさん談。

 事実、標高が上がるに連れ、緑らしい緑は姿を消していき、岩山に囲まれていく。 そして時々、その岩山をえぐっただけのトンネルの様な道を走り抜けたりするから、怖い。なんつーか、ハワイのビッグウェーブみたいに岩が車の上に覆い被さっているのだ。

 日本の山のトンネルの様に、安全対策を万全にして、コンクリでぴっちり固めたワケでもなく、「ただ、岩を削り取って道にしちゃいました」というか、「岩が勝手に崩れ落ちて、道になっちゃいました。だから、通ってます」みたいな、とにかく、ワイルド。

 崖崩れ注意!なんて、言われんでも誰でもわかるわ・・・。こんな道。こわー。

 そんなこんなで寄り道しながら、ジープは今回の最終目的地、パスーに着いた。熱を出さなければ峠越えも出来たのにな~、くそーーー。
カラコルムハイウェイ パスー
カラコルムハイウェイ、パスー
月明かりの下で
 パスーに来る多くの旅人はトレッキングに行くための中継地として立ち寄る。 本格的な装備のない素人でも、歩いてほんの数時間で氷河にたどり着くので、大荷物を持たずに日帰りトレッキングも可能だ。

 反対にいうと、トレッキングをするつもりのない人は少々手持ちぶさたに感じるかもしれない。美味しい食べ物を出すレストランがあるわけでもなく、豪華な宿があるわけでもなく、カラコルムハイウェイに沿って簡易な宿が並ぶ小さな村に過ぎないからだ。

 私はそのシンプルな雰囲気が無性に気に入った。

 鳥のさえずりや小川のせせらぎに耳を傾けていただけの日中。刺すような冷たい空気の中で、黙って見上げた月の明かるさ。なんにも邪魔されず、ただ静けさの中に身を置くこの贅沢な空間は、普段ではあり得ない。 だから、旅が好きなんだよね~。

 日本での自分にも満足しているハズだけど、時にはがんばり過ぎちゃってたりする。 なんていうか、そういう自分をリセットできることに幸せを感じる。


 ところで、このパスーで泊まった宿のオーナーはとってもおしゃべりな髭オヤジ。この親父がやたらと日本人を褒める。 あまりにこそばゆいのもあったのか、S美さんは親父を試すような質問を投げかけた。

「じゃあさ。あなたは日本人をパートナーにしたいって思う?」


 この場合のパートナーは、お嫁さんという意味ではない。仕事上のパートナーとして認めるかという意味だ。

「うーん、そうだな。日本人を仕事のパートナーにするのは悪くないと思うよ。 日本人はまじめだし、無駄遣いもしない。きっと上手くやっていける。それにものすごくきちんとしてる。パートナーとして申し分ないね」

 きちんとしてるっていうのはどういう意味だろうか?

「例えば、ここに灰皿とライターがあるだろ。日本人がこのテーブルに座って煙草を吸っているとする。 彼が煙草を吸い終わって席を立つとき、彼はライターを灰皿の横に並べて置いていくよ。」

「これが他の国の人間だと違う。灰皿から灰が飛び散っていたり、ライターはこーんな向こうに放り出されていたり、揃えて置いておくなんてことしないね。そのくらい日本人はきちんとしてると言う意味だよ」

「日本人のお客が使ったあとの部屋を掃除するのも楽なんだよ。ゴミはまとめておいてくれたりするしさ。 欧米人よりも日本人に泊まって欲しいと思うね」

 へぇ~。意識したことはなかったことだっただけに驚いた。確かに私も部屋を出るときはゴミとか一カ所にまとめて置いていくなぁ。でも、ホテルの部屋をぐちゃぐちゃの状態にするほうが難しくないかなぁ?旅の荷物って限られてるし、散らかしようがないと思うのだが。
 そういう私にS美さんはこうのたまった。

「私、今まで欧米人の女の子と部屋をシェアしてきたじゃない?ほんっっと彼女らってテキトーだよ。 お金を払って自分が借りてるんだからっていう意識が強い。 バックパックもやたらと大きいけど、何も考えずに無造作に荷物を放り込んでるモノ。 ちゃんと入れればもっと小さい鞄でも余裕だよ」

「シャツを鞄にしまうためにくるくる巻いてたら、「何それ!面白い!」ってマネして全部くるくる巻いて入れてた。 最初からそういうことする感覚がないみたいね~」

 ははあ、そうなんですか。全ての日本人がきちんとしているわけでもないし、全ての欧米人(この彼女はカナダ人)ががさつなワケでもないはすだが、1人のバックパッカーの行動を例にとってみてもこれほど違うのか。

未完成
未完
 ここからは私の勝手な想像だが、欧米人はバカンスで旅行をする人が多いのではと思う。一生懸命働いて働いて休暇を取り、お金も時間も贅沢に使ってリフレッシュする人も多いだろう。

 逆に、日本人の場合って、普段も忙しいくせに、休みも短いし、そういう過ごし方に慣れてない上に、 バカンスをしたいと考える人は、パキスタンの山奥を選ばない気がする。なんか、綺麗な海に行きそうだもん。
 ここに来る人は山登りとか、トレッキングとかが大好きな人で、往々にしてそういう人は登山家としてのマナーをしっかり守るだろうと思う。 つまり、余計に日本人のきちんとしたところだけが、目につくのではないか。

 ポーター雇って荷物を運ばせたり、ヘリを使う前に、自分たちでおにぎり作ってお弁当を持っていきそうな、そういう堅実な人間が多そうな気がするのだ(しつこいけど勝手な想像)。 お金を湯水のように使うような人たちはここには来ないだけだと思うよ。

 後で聞いた話、親父は私が独身かどうかも伺っていたとか。 思えば、やたらとフンザをアピールしていた。

「フンザはいいぞーー。夏は清々しいし、冬の間は雪景色が綺麗だ(←そういう問題ではない気が・・・)。 それに、日本で子供を育てるのはお金がかかるっていうじゃないか。ここじゃ学校もただだし、ちっともお金かからないぞ。」

「日本人の女の子が下の村にお嫁に来たんだよ。彼女はここの暮らしをとても気に入ってる」


 うーん。でも、ここの冬の厳しさを考えると、相当の覚悟が必要だと思うが・・・。(親父は「冬は外に出なければいい」とさも簡単なことの様に言う)とにかく、日本人は仕事のパートナーだけでなく、嫁候補としてもOKらしいね。(関係ないがS美さんはスキンヘッドなので、さすがにパキスタンの人は一歩引いてしまう)

 今までは、海外で声をかけられると、「日本=お金を持っている」とか、「日本人=騙されやすい」とか、 偏見から来る思いこみ、勘違いだと思っていて、「よく言うよなー」なんて、ひねくれた目で見ていたのだけど、 この親父の例のように、前からここに訪れる日本人たちが、彼らに良い印象を与えてくれていたことで、日本人に対して好感を持ってくれることもある。こそばゆい想いと共に、我々の同胞に感謝の気持ち。

 なんていうか、海外にでると、一個人としてではなく、日本人という人種として大きくくくられることが多いから。 自分の行動が、また次にここを訪れる人にも影響するって身にしみてきましたね。


 ところで、パスーへの旅から帰った後、ギルギットのとあるアクセサリーショップで店員と会話していた時のこと。

「この前店に日本人の女の子が来て「チャラスない?」って言ってきた。君はやるのか?」 と聞かれてのけぞった。

「やらないならその方がいい。全くあのときはビックリしちゃったよ。」

 やたらに正義ぶっていたので、「おお、アツイやつだな~」と思ったのもつかの間。 他の店員が所要で店を出て二人きりになると、彼は私にこう言い放った。

「この前、日本人の女の子が「お金がないの・・・」って来たんだよ。だから1000ルピーやったんだ。 どう?1000ルピーあげるからやらせてくれない?(←何が?) 1000ルピーで足りないなら、この店の宝石を好きなだけ持っていっていい!」

 がく~っ。・・・何やってるんだ・・・。

 まいっちゃうなぁっ、もうっ。

 残念なことに、日本人もいろいろなのよ親父さん・・・。


 では、ここいらでパスーの写真はここから


- インド・パキスタン旅行記:木っ端みじんの旅 目次 -
プロローグ
第1話 相変わらずワルはワル。(その1)
第2話 相変わらずワルはワル。(その2)(
 →【写真】デリーでいろいろ食らう。
第3話 やっぱり、アムリトサルが好き。
 → 【写真】アムリトサルから国境の町アタリへ
第4話 たかが国境。されど国境。
第5話 早い、安い、綺麗・・・でも不快?
第6話 町を歩けば、男にあたる。
 →【写真】何もないけど好きな町。ピンディ
第7話 日本人嫁獲得大作戦?
第8話 旅、此即ち学習
 →【写真】ギルギットを歩く。
第9話 風の谷のナウシカごっこ
第10話 フンザドライブのすすめ
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その1
第11話 旅の恥は掻き捨てないように
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その2


第12話 気まぐれスープと謎のシェフ。
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その3
第13話 山を下りるもまた一苦労
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その4
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その5
第14話 ラホーール、おそるべしっ(その1)
第15話 ラホーール、おそるべしっ(その2)
第16話 こんな列車の国境越え
第17話 車掌も密かにワル。
第18話 我ラクダのしりに物思う
第19話 損して得取れって・・・真実よ
第20話 やっぱ、アグラの街はうざい!
第21話 素敵なリキシャワラとの出会い
第22話 カルチャーショック受けちゃった?
第23話 アーユルヴェーダで禿を治そう!
第24話 そして、木っ端みじんの旅
エピローグ

タグ:カラコルムハイウェイ|パキスタン|パスー|フンザ

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