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  [概要: 鍵があっても鍵の意味がなーい!中級ホテルのくせにっ。]

 第15話 ラホーール、おそるべしっ(その2)(2001.08.09 ラホール)

お祈りブース カラコルムハイウェイのドライブインにて。 敬虔なイスラム教徒が多いので、公共の場所には必ずお祈りをするところがあります。
運転手も勿論、時間になると車を停めてお祈りをしました。さすが!です。

 ラホールに着き、リキシャとけんかしながらも無事ホテルに着いた私。

 チェックイン手続きを済ませると、「部屋を準備してるから、しばらく待っていて」というフロントマンの言葉に従い、ロビーのソファで座って待っていた。

 待ち始めてから1時間が経過。ここは日本ではなくパキスタンであることを差し引いても、いくらなんでも遅すぎる。

 さすがの私もいらだちを覚え、「部屋に入れるのはいつ?」とフロントに問いただした。リキシャワラに怒った後のことだから、もしかしたらこのときも顔が怒った表情のままだったかもしれない。

 すると、フロントマンは言い訳一つせず、あっさりとボーイに鍵を渡し、私を部屋に案内するよう指示した。
 待っていた1時間はなんなのか非常に腑に落ちなかったが、とにかく3階の313号室まで案内され、ドアを開けてくれ、やっとザックを下ろすことができた。ボーイはチップを要求することもなく(されても絶対に払わんが)帰っていった。

 ・・・部屋の鍵を持って

 ボーイが鍵を持って帰ったのを一瞬不信に思ったのだが、私はこの時点で、「そっか。この宿では、部屋の鍵はボーイがいちいち開けてくれるものなのだろう」と思いこんでしまった。さっき、待たされたのは、案内係のボーイがさぼっていたからとか、そんな理由だろうと。

 この気持ちは中国を旅行したことがある人にはわかってもらえると思うのだ。

 中国の安宿では、フロアごとに各部屋の鍵を携えた小姐がいて、部屋に入るたびにいちいちお願いして部屋の鍵を開けてもらわないといけない。
 そして、こまめに出入りすると、あからさまにイヤーな顔をされたりするので、あまり部屋から出なくなったり、出たときはなるべく町で時間をつぶしたり、気遣いの日本人になってしまったりする。

 「ああ、中国近いし。そういう文化がこっちにもあるのかね」なーんて、深く考えず部屋に入ってくつろいでいた。

 しかし、そうはいっても、食事や観光のためには部屋をでる必要がある。
 仕方がないので、外出時は内側から鍵をかけた。部屋を出るときにドアノブのボタンをポチッと押し、部屋の外に出たらドアノブをひねらないように気をつけながら、ドアをバタンとし閉める。こういう旧式のドアって、へたすると鍵がなくても外から開くから怖いけど。

 外出から戻り、フロントに自分の部屋番号を告げると、今度はボーイがいないからなのか、フロントマンは背後のキーボックスから一つの鍵を取り出し、私に差し出した。

 しかし、私はちゃんと「313号室です」と言ったのにもかかわらず、その鍵には312号室のタグが付いていた。

「ああ、大丈夫ですから。ちゃんと開きますよ。」

 ってことはタグの付け間違い?

 客も混乱するしタグを付け替えればいいのに。パキスタンはその辺テキトーなのかな~?とここでもやっぱり深く考えていない私だった。

 夕食も済ませ、とりあえず、中級クラスのホテルに腰を落ち着け、シャワーも浴びて。 すっかりくつろぎに入っていたその時、突然、部屋のどこかからゴンゴンっと鈍い音が聞こえた。

 ここはラホールである。やっぱり、ラホールである。もしかして、天井から誰か降ってくるの?私、女なんだけど。 襲うならかわいい男の子にしておきなよ~。

 恐ろしくなった私は、押し黙り、物音も立てず、じーーっと動かず様子をうかがった。
 すると今度はゴンゴンっという鈍い音とともに、男の声が聞こえる。それもよく訊いていると、天井ではなくドアのほうから聞こえる。

 どうもドアをノックする音のようである。

 でも、私は一人旅だ。そんな私のところに訪ねてくる人なんていないのだ。おまえは一体だれだーー!

 ちっともドアを開けない私に男はますますいらだち、ドアをばんばん叩きながら叫び始める。
 「ハローー」とか「開けてくれー」とかいう言葉の節々に「キー」とか「ユアルームキー」とかいう言葉が耳に入った。

 ・・・わたしの・・・部屋の・・・鍵?

 どうやら強行手段で部屋に押し入ろうとしている輩ではないようだ。そして、何か話がしたいようだ。 私は、おそるおそる部屋の入り口に近づき、ドアを隔てたまま男に向かって話しかけてみた。

「鍵を・・・。ドアを空けてくれ。君の鍵が必要なんだ。」

「鍵って・・・私、この部屋の鍵しか持ってないんですけど。」

「だから、その鍵がないとだめなの。とにかくここのドアを開けて!」

 何が一体だめなのかがさっぱりわからないが、とにかく男は鍵がどうのとうるさい。開けてくれ~、開けてくれ~とドアをばんばん叩きながら、声を張り上げている。

 どうも様子がおかしい。だが、変な人ではなさそうだ。そう思った私は仕方なくドアをすこーーし開けた。

「ああ、よかった。鍵、鍵を貸してくれ。君が持ってる鍵だよ。ちょっと貸してくれるだけでいいんだ」

 よくわからんが、こいつはホテルの人なのか?スペアキーがないホテルなのか?
 部屋に押し入る様子もない。ただ鍵を求めている。とりあえずそう判断し、ドアを閉め、鍵を取り出し、再びドアを開けた。

「そう、その鍵だ。ありがとう。すぐ返すからちょっと待ってくれ」

 男は私から鍵を受け取ると、隣の部屋、つまり312号室の鍵穴にドアを差し込んだ。

 そして、ノブをくるっとひねると、ガチャ・・・という音とともに、312号室のドアが開いたのである。

「助かったよ。ありがとう。じゃあね」

 呆然とする私に鍵を差し出し、男は部屋の中に消えていった。
 おいおいおいおいおい。つまり、この部屋と隣の部屋は同じ鍵を取り付けてあると・・・。

 鍵の意味なーーーーし!

 翌日、午前中くらいはラホール観光しようかなとか、気楽なことを考えていたが、絶対無理!

 私が部屋を開けている間に、隣の男が鍵を持ち出し部屋に押し入るかもしんない。部屋の鍵が同じなので持ち出す権利はあるところがまた困ったもの。荷物が全てなくなるかもしんない。

 このホテルのセキュリティはどうなってるんだ?同じ鍵をつけざるを得ないなら、せめて階を変えるとかしないのか? よりによって、隣の部屋にするとはどういう了見か。

 その後、誰かが鍵を開けて入ってくるのではないかという恐怖が消えず、落ち着いて眠ることもできなかった。 3階全部の部屋の鍵が一緒だったらもっとお笑いだが。

 エアコン、テレビ、冷蔵庫つき・・・にするよりも、鍵をきちんとつけてくれ。ユナイテッドホテル・・・。

- インド・パキスタン旅行記:木っ端みじんの旅 目次 -
プロローグ
第1話 相変わらずワルはワル。(その1)
第2話 相変わらずワルはワル。(その2)(
 →【写真】デリーでいろいろ食らう。
第3話 やっぱり、アムリトサルが好き。
 → 【写真】アムリトサルから国境の町アタリへ
第4話 たかが国境。されど国境。
第5話 早い、安い、綺麗・・・でも不快?
第6話 町を歩けば、男にあたる。
 →【写真】何もないけど好きな町。ピンディ
第7話 日本人嫁獲得大作戦?
第8話 旅、此即ち学習
 →【写真】ギルギットを歩く。
第9話 風の谷のナウシカごっこ
第10話 フンザドライブのすすめ
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その1
第11話 旅の恥は掻き捨てないように
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その2


第12話 気まぐれスープと謎のシェフ。
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その3
第13話 山を下りるもまた一苦労
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その4
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その5
第14話 ラホーール、おそるべしっ(その1)
第15話 ラホーール、おそるべしっ(その2)
第16話 こんな列車の国境越え
第17話 車掌も密かにワル。
第18話 我ラクダのしりに物思う
第19話 損して得取れって・・・真実よ
第20話 やっぱ、アグラの街はうざい!
第21話 素敵なリキシャワラとの出会い
第22話 カルチャーショック受けちゃった?
第23話 アーユルヴェーダで禿を治そう!
第24話 そして、木っ端みじんの旅
エピローグ

タグ:セキュリティ|パキスタン|ホテル|ユナイテッドホテル|ラホール|中級クラス|鍵

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