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  [概要: パキスタン・ラホール(ワガ)~インド・アムリトサル(アタリ)。]

 第16話 こんな列車の国境越え(ラホール-デリー)

 「部屋の鍵が隣と一緒だった事件」の勃発により、早々にラホール出発を決めた。ザックを担いでラホールを観光するくらいなら、インドに入ってアムリトサルで黄金寺院を見る方がましである。

 ラホールからインドに戻る方法は、飛行機、列車、バス+徒歩と3通りあるが、他の2つの手段が毎日あるのに対し、列車は火、金の週2日、しかも早朝のみの運行。
 この日はたまたま金曜日だったことが幸い。私は、朝7時半出発の列車でインドに戻ることにした。


 宿から、乗り合いリクシャにてラホール・シティ駅にたどり着くと、まずは改札へ向かう。

 ガイドブックには、「入場料5ルピーを払ってホームに入り、ホームで切符を買うのよ」なんて書いてあるのだが、実は、この国境行きの列車は、切符売り場も改札もシティー駅構内の端っこにおまけのように作られており、パキスタン内陸行きの列車とは、ホームこそ繋がっているが、完全に別の路線扱いになっている。

 簡単に言えば、JRの新宿駅から山手線に乗りたかった人が、小田急線の新宿駅の改札から入場してしまえば、入場料取られるじゃないですか。そゆことだと思うのだ。(※以前は切符売り場が無かったということもあり得ます。あしからず)

 駅員から、切符売り場の場所を教わり、国境の駅ワガ行きの切符を購入。料金は40ルピーなのに、切符には36ルピーと記されているあたりがミソ。料金改定ごときで切符も刷り換えなんてしない。というか、紙を無駄にできないってことかもね。

 改札を通り抜けると、目の前に4両編成の列車が止まっていた。

 この列車には窓がなかった。
 各車両に2つずつある扉は鉄製で、上半分が観音開き、下半分は両端にある留め具をはずすと、手前に開く。・・・見た目はどう考えても貨物列車なのだが、とりあえずたくさん人が乗っている。

「あのう・・・ワガ行きってこの列車でいいんですか?」

 思わず漏れた。やっぱり、これがワガ行きだった。しかもここの駅、プラットホームは地面と同じ高さに作られており、ただでさえ車輪と台車の高さで車体の位置が高いのに、よりによって扉の下半分はしっかりと閉められていた。

 まず、重ーいザックを担いで投げ入れた。

 深呼吸をふぅ~っっと一呼吸。
 「さぁ、飛び乗るぞー!」と気合いを入れたところで、あちこちから差し出される親切な手。

 さ~すがイスラム国家。最初から最後まで女性には優しい国だったなぁなんて思いながら、しっかりその手を握りしめると、この重い体もあっという間に列車に吸い込まれていった。
(※ こんなシチュエーションじゃ、どんな国でも助けてくれると思いますが、とりあえず、パキスタンは親切を受けっぱなしだったの)

 列車は、乗り込んでから5分もしないうちに動き出した。窓がないので扉は開けたままである。
 そもそも貨物列車というものは、人間ではなく荷物を運ぶ物である。扉は閉めて走る作りなので、列車の揺れに併せてバタンと扉が閉まってしまう。
 それをなんとか開けとこうと悪あがきをする男が一人。だって、閉まっちゃうと真っ暗闇だもの。
列車図1
旅客車イメージ図
列車図2
貨物列車イメージ図

 そして、当たり前だが座席はないし、床にはシート一つ張ってない。
 扉から漏れる光の当たる場所はほんのわずかで、暗くて自分の足下すらよく見えない。

 ぐちょぐちょに汚れているのか、はたまた綺麗なのか、単にさびてるのか、わからないから誰も床には座れない。各々持ち込んだ荷物を座席代わりに座り込むか、バランスを保ちながら必死で立っていた。(当然、つり革有りません)

 同じ車両に乗り合わせたインド人の男が、思わず口走った言葉がとても印象的。

 「こんな経験初めてだぜ!しんじられん!」

 そーか、インド人もびっくりか(笑)

 出発から約1時間後、列車のスピードが徐々に落ち始めると、それを合図にしたかのように、若い男が徐々に扉付近に集まりだした。

 そして、国境の駅、ワガにたどり着くと、列車を飛び降り一斉に猛ダッシュ!

 「ええ?私も走らないとだめ?」と一瞬焦ったが、実は荷物用のカートの争奪戦で、「俺が先にとった」「イヤ俺のもんだ!」と押し合いへし合いケンカにまでなっている。

 落ち着いてよーく見てみると、皆さん「引っ越し?」と聞きたくなるくらいの大荷物なのである。
 ははーん。この路線を貨物にしてるのも、政府がちゃんと配慮してるんだな。きっと。


 イミグレーションでは、パキスタン人、インド人と外国人の窓口は別に設けられていた。

 パキスタンに入国の時は、荷物検査はあっさりしたもので、「お酒持ってる?」「持ってない。だって飲まないもん」「あ、そう。行ってよし」ってあっさり終わったのに、出国はかなり厳密。荷物の中身を全てひっくり返された。

 まー、何も持ってないからどうってことないのだが、全ての人間にこれをするのには参った。

 先に書いたように、パキスタンの人々は「引っ越し?」って感じの大荷物である。
 布団袋のような大きな包みが2つ3つ。バッグも数個。おまけに山羊までいるんですけど・・・。ええと、やっぱり一家でインドに住むのか?そして、その大荷物を何十人分も徹底的に調べるのである。

 ラホールを出発したのが7時半。ワガに着いたのが8時半。ワガで待機していたインドの列車(これはちゃんとした旅客車だった)がワガを出たのは14時すぎである。

 全員が通関を完了するのに5時間近くかかった。

 インド国境の町、アタリ駅には14時半着。インドの通関も混んだとはいえ、15時には入国完了。これは外国人が少なかったおかげかな。私とドイツ人男性ともう1人。3人だけだったから。

 ちなみに、インドの入国カードは英語バージョンだったので、「外国人は英語がわかるだろう!」という思いこみを持ったインド人(もしくはパキスタン人)に入国カードを書いてくれとさんざんせがまれました。

 入国カードに書いてある言葉は読める。意味もわかる。

 だけど、あなたの名前を、住所を口頭で言われても、綴りがわから~~ん。

 彼らのパスポートを見ながらがんばってはみたが、途中で聡明そうなインド人カップルに押しつけて逃げ去ったのでした。

- インド・パキスタン旅行記:木っ端みじんの旅 目次 -
プロローグ
第1話 相変わらずワルはワル。(その1)
第2話 相変わらずワルはワル。(その2)(
 →【写真】デリーでいろいろ食らう。
第3話 やっぱり、アムリトサルが好き。
 → 【写真】アムリトサルから国境の町アタリへ
第4話 たかが国境。されど国境。
第5話 早い、安い、綺麗・・・でも不快?
第6話 町を歩けば、男にあたる。
 →【写真】何もないけど好きな町。ピンディ
第7話 日本人嫁獲得大作戦?
第8話 旅、此即ち学習
 →【写真】ギルギットを歩く。
第9話 風の谷のナウシカごっこ
第10話 フンザドライブのすすめ
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その1
第11話 旅の恥は掻き捨てないように
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その2


第12話 気まぐれスープと謎のシェフ。
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その3
第13話 山を下りるもまた一苦労
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その4
 →【写真】カラコルムハイウェイをゆく その5
第14話 ラホーール、おそるべしっ(その1)
第15話 ラホーール、おそるべしっ(その2)
第16話 こんな列車の国境越え
第17話 車掌も密かにワル。
第18話 我ラクダのしりに物思う
第19話 損して得取れって・・・真実よ
第20話 やっぱ、アグラの街はうざい!
第21話 素敵なリキシャワラとの出会い
第22話 カルチャーショック受けちゃった?
第23話 アーユルヴェーダで禿を治そう!
第24話 そして、木っ端みじんの旅
エピローグ

タグ:アタリ|アムリトサル|インド|パキスタン|ラホール|ワガ|列車|国境越え|陸路

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