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  [概要:タベウニ島の大晦日に真っ暗闇で一人でポツリ。な、なんだよも~!]

 第13話 世界で一番早い新年を。 (タベウニ島)


「いらっしゃい。今は(経営者の)息子がいないんだけど、部屋を空けてあげるわ」

ゲストハウスのオーナー家族と思われる女性が現れ、部屋へと案内してくれる。
ワイエボにあるクールアコモデーションは、「安さ売り」のゲストハウスで、各部屋にシャワーがあって、キッチンが使える割には値段はリーズナブル。
しかし、道路沿いにある建物は同系列のレンタルビデオショップ兼オーナー家族の住む家。ゲストハウスはその建物の裏にあって日当たりが今ひとつ。部屋は清潔なんだけど、電気が貧弱で暗いのがちょとなー。

「とりあえず一晩だけここに泊まったら?明日、いいところが見つかったら変えればいいじゃない」

思っていることが顔に出ていたらしい。そうね。今ひとつ気に入らないが、もうすぐ日が暮れようとしている今から荷物を背負って宿探しなんてしたくない。

「わかりました。じゃあ、休ませて貰います」

2002年の大晦日。私は1人でこの宿に泊まることになった。

十数分後、宿でくつろぐのに飽きた私は、島の探索に出ることにした。4日後にはビジレブ島に渡り、ナンディから帰国せねばならない。そのためには島を出る船のチケット買っておかなくちゃ。

「あのー、タベウニからスバまでの船のチケットってどこで買うのかな?」
「船のことは、スーパーの前の店で聞いてごらんなさい。それよりもうすぐスーパー閉まるわよ。明日はお休みだから今のうちに食料買ってきなさいよ」

ぐっ、そうか。この国は休日は町の機能が停止するんだった。レストランも食堂もスーパーもみんな休みで、おまけに食事の準備は自分でしないといけない。めんどいからパンでも買ってこよ。

買い物、チケットの調査(実は時間切れで売ってもらえなかった)を済ませ、宿に戻ると、ようやくオーナーである息子が現れた。

「初めまして。ところで、今晩、タベウニアイランドリゾートでディナーにするんだ。良かったら君もどう?」

タベウニアイランドリゾートとは、島の北部にある高級リゾートで、一番安い部屋でも1人3万円ほどする。 食事だけだとどの程度か想像できないが、それでもここの宿泊費よりも高いに決まっている。そんな所に誘われて、気軽に「行く!」と言えると思う?

「でも、家族での食事を邪魔しちゃ悪いし。それより、ドレスを持ってないから」

そうなのよ。高級レストランでの食事は想定していないのだ。

「遠慮しないで。それに服装なんてそれで大丈夫だよ。」

そ、そこまで言われると心が揺らぐ。今日は大晦日。日本人にとっては結構なイベントであるこの日に、この薄暗い部屋でパンでもかじってようと思ったんだもん。私。

「じゃあ、一緒に行く!まだ出ないなら島を散歩してくるね」

そう言うと、私は少し、島の探索をしにいった。ちょっと船着き場を見たかったんだよね。
180Meridian
【日付変更線の碑に乗る】

日暮れ
【タベウニのサンセット】

普通の家
【町は割と舗装が進んでいる。町は】

散歩から戻ったころには、日は暮れかけ、あたりは薄暗かった。宿はシーーンと静まりかえり、オーナーの母親の見ていたテレビの音もしなければ、きゃいきゃい走り回っていた子供の足音も聞こえない。

「待ってるって言ったのに、おいていっちゃったのかな?まさかなー」

人間、誰しも不吉なことは信じたくない。それに私は、約束の時間にきっちり帰ってきたし、南の島の人はルーズな気がするし、きっと遅れてるだけなのよ。
部屋に戻り、持ってきた文庫本を読みながら帰りを待っていた。30分過ぎ、1時間過ぎ、気がついたらそのままベッドで眠りこけていて、目が覚めたら夜の7時!・・・やっぱり、置いてかれたーーー!
期待した分、ショックも大きい。「なんだよ~。だったら、1人で食事に行ったのに!」ぶつぶつ言いながら、その辺の食料をつまむ。

そして、それから小一時間ほどして、車のエンジンの音が聞こえてきた。オーナー一家のご帰還のようだ。
あまりに頭に来たので、電気を付けたまま寝ているふりをした。今更謝られたりしたくない。
ドアをノックする音も無視。窓の隙間から覗いている気配を感じながらも狸寝入りを決め込むと、息子は、こともあろうに、なんと発電機のスイッチを切った。そして、再び自分は車で遊びに行ってしまったのだ。

もう、踏んだり蹴ったりとはこのことだ。
だって、私は、夕方から今まで寝てしまったのだ。・・・うう。お目目はぱっちりさえてるのに、真っ暗。 電気がつかなきゃ本も読めない。外に出たってコンビニもない。何もすることがないじゃないか~。

夜中の12時前。自分の時計をじーーっと見つめる。

「そろそろ、年が明けるな~」

ぼーーっと物思いにふけっていると、遠くでわーーーっと歓声があがるのが聞こえた。 そして、パリーーんと瓶が割れる音。だれかビールの瓶を投げつけたなー。

「ふん。ここはタベウニ島のワイエボよ。フィジーの標準時じゃもう新年だけど、本当の日付変更線は島のもっと西なんだから。世界で一番新年を迎えるのが遅いのが、こ・こ・だっ」

タベウニ島は、日付変更線がど真ん中をつっきっている珍しい島だ。実際には、島の西も東も同じ時間を使っているけど、理論上はまだ大晦日なのっ。

ふんっだ。これくらいのへりくつは言わせて貰う。私の時間を返せ~。

【フィジー(島巡り編)旅行記 目次】

フィジー旅行記 世界で一番早い新年を! プロローグ
第1話 旅は徒然。連れ連れ。(バンコク)
第2話 まずはクロンヤイでぷはーです。(クロンヤイ:カンボジア)
第3話 ココンの国境ひ~らいた。(1)(ハートレーク、ココン:カンボジア、タイ)
第4話 ココンの国境ひ~らいた。(2)(ココン:カンボジア)
【写真集1】ココンで1日遊びました (ココン:カンボジア)
第5話 ええっ、罰金?! (ココン - バンコク:カンボジア)
第6話 夜中の一人歩きにご用心。(バンコク:タイ)
第7話 タイが微笑みなら、フィジーは笑顔の国。(ナンディ - ラキラキ)
第8話 けんかをやめて~っだ。(ラキラキ - ナナヌイラ島)
第9話 強風吹き荒れるリゾートしま。(ナナヌイラ島)
【写真集2】ナナヌイラ島で3日遊びました。(ナナヌイラ島)
第10話 スバのドミトリーでのいろいろ。(スバ)
【写真集3】スバ近郊散歩。(スバ)
第11話 ガーデンアイランド タベウニへ。(スバ - タベウニ島)
第12話 離島で無料でヒッチあり?(タベウニ島)
□第13話 世界で一番早い新年を。(タベウニ島)
第14話 フィジアンのお正月を写そう。(タベウニ島)
第15話 タベウニ島を歩いてみました。(タベウニ島)
【写真集4】ガーデンアイランド・タベウニ島(タベウニ島)
第16話 なぜ君がここにいる・・・。(ナンディ)
エピローグ (ソウル、日本)

■旅の履歴:フィジー個人旅行 2002年12月~2003年1月

タグ:タベウニ島|フィジー|停電|大晦日|新年|正月

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