第3話 国境越えてからが大変なのだ!その2(アランヤプラテート-シェムリアップ)
ピックアップトラックは、シェムリアプに向けて走っていく。
「ポイペトからシェムリアプまでどのくらいかかる?」
「7時間くらいかな」
よし、聞いていた情報とぴたりと合う。まだ雨期は来ていないみたいでほっとした。
ご存じの様に、カンボジアはついこの間まで内戦によって国内が混乱していた。
今は平和が訪れたとはいえ、そのお陰で貧しい人が多い。
そして、戦争の副産物というかあちこちに銃がはびこっていて、兵士崩れの元ポルポト派の人間だけでなく、普通の一般市民まで簡単に銃を手に入れられる。
つまり、強盗をやらかそうと言う輩には絶好のチャンスなんだ。最強の武器を手にいられるんだから。
このポイペト-シェムリアプ間の国道は、夜になると強盗が出るってのは旅行者の間では有名。まわりになんにもない田舎道だから襲うのは簡単だものね。
西洋人カップルは日が暮れると危険だから早起きをしたみたいだけど、旅行会社を成り立たせるためには外国人をなるべく乗せないと儲からないわけで、だから我々が来るまで待たされていたんだ。現地の人はずっと安い代金で乗ってる筈だから。
旅行会社で申し込まない旅人が乗り換えに苦労するのは、金払いの問題でしょう。
この国道はまだまだ舗装化は進んでおらず、雨期になると道はぬかるんで車もトラックもしばしば立ち往生する。
タイヤのスタックは当たり前、朝早く出発して着くのは夜中なんてのもザラ。
シェムリアプまで12時間とか、とにかく時間のかかり方がまるで違って来ちゃう。
そうすると、途中で日が暮れる可能性が大ってことで危険度が増すんだな。
運転手はその辺のこと十分判ってるはずだし、雨期だったら出発時間が早まっているはずだ。今は乾期だからのんびり待っていたんでしょう。
ところで、今までこの道を使うのは現地の人だけだった。ところが1998年に外国人が国境を通ることを許され、ここいらに住んでる住民はひらめいた。
「金は持ってるヤツからふんだくれ」←言い過ぎ
外人はもちろんのこと、外人相手に商売してるヤツだって多少の金は持っている。
だから、私設関所で小金を稼いでいるのであった(地元民だけを乗せたトラックからもとっていたかもしれないんだけど)。
彼らが何をしたのかというと、こうである。
きちんと作られていた道路はわざと掘り返し、水を流し込んで大きな水たまりを作ってしまう。川にかかる橋は、車が通れるぎりぎりの幅だけ残して板をはずしてしまう。
で、ちゃんと車が通れるように誘導してあげるのだ。
水たまりをよけて通ろうとすれば、そこは民家の前つまり私有地だということで、そこの住人が「通行料をよこせ!」と仁王立ち。
水たまりを突っ切ろうとしても水は濁っているから、どこが深くてどこが浅いのかはこっちには判らない。運転手もスタックは避けたいが、自力で通る自信はない。
「こっちを通れば大丈夫だ」と、浅いところに車を誘導してあげ、やっぱり「通行料よこせ!」。
|
 | | 関所の誘導親父 |
|
1つだけ橋桁がはずされていない橋があったけど、その橋のど真ん中にしっかりと直径10㎝はある太い棒が立てられていて、車の通行を阻んでいた。
車が橋に近づいてくると、その辺でくつろいでいた親父がのそのそと立ち上がり、しっかり通行料をとってから棒をはずしていた。
ううむ。これがなけりゃもっと早く着くのに。国境からシェムリアプまでって150㎞くらいしか離れてないんですよ~。一本道だし。
我々の車の運転手は以外と冷静なヤツで、通れるか通れないか微妙な道にさしかかると、まず車を止めてしまい後続車を先に行かせる。その車が問題なく通過するとその後についていったりしていた。
そして、私設関所の番人が子供だと、無視して通り過ぎた
(後で、父ちゃんに怒られるんだろうなぁ。かわいそうに)。
金を払えば払うほど、彼の懐が痛むんだからいろいろと考えているのだろう。
ところで、私はB.100多く払ってトラックの中の座席をもぎ取ったのだが、後部座席はクッションなど名ばかりのシートで且つ4人乗り。お尻がものすごく痛いのに、身動きがとれなくてつらくてつらくてたまらない。
道は大変な悪路で、常にぐわんぐわんと上下に揺さぶられるし、冷房は入ってるらしいけど
ホントに入れてるの?といいたくなるくらいアツイ。普段は車酔いなどしない私だが、ちょっと気分が悪くなってきた
(たぶん日本の道だから車酔いしないんだよ)。
 | | 写真だとすがすがしい空 |
|
もしかして、身動き取れる分外の方が楽なのかしら・・・などと思ったけど、とんでもない台詞だったらしい。
荷台だから当然シートなんかなく振動がもろに来る。
太陽はじりじりと肌を攻め、あっという間にドカタ焼け。
道も悪いから常に埃まみれで白いTシャツはまっ茶色に染まる。
乗っている人全員が埃よけにタオルやクロマー(カンボジアの民族衣装。30cm×1.5mくらいのカラフルな布)を頭に巻いていたが、色白の日本人は目のまわりだけパンダ焼けしていた。
「なかはいいですよねぇ。冷房効いてるんでしょ?」
・・・効いてないけど、確かに外よりは涼しかった。
|
舗装道路に出たとたん西洋人の男が
「It's Miracle!!」なんて叫んでいたところを見ると、前の席でもきつかったんでしょうね。
仕事とはいえ、この道を毎回走っている運転手さんは大変だなぁ。